✿はなの家から 67 はなの家だよりNo21巻頭言から

●早いもので…「はなの家」は2023年の元旦に10年目をスタートさせることができました。

 開所したばかりのころに中学1 年だったショウリ君とシンゴ君の二人も4 月からは大学4 年生。1 歳年下のウキョウ君とユウト君もはなの家を出て、一足先に社会人となって働いています。それぞれが自分の道をそれぞれのペース配分でときどき立ち止まりながらも歩き始めているようです。

 10 年目を迎え、子ども達の構成メンバーも大きく変わりました。

 これまでは原則男子としていたのですが…女子も加わり、あるいは半年間にも及ぶ委託一時保護もあったりと…その時に必要と思うことを関係者の方々と協議しながら、「はなの家」としてできることを精一杯にやってきました。結果として…現在我が家では高校生男子3 人、女子1 人、中学生3 人(うち1 名中学卒業まで一時保護)の合計7 人が私と共に一つ同じ屋根の下で暮らしています。

 ショートステイや一時保護などで兄妹などを預かった場合に短期間7 名になることがあっても、半年にも及ぶのは初めてのこと。受託したものの、本音を言えば多少の心配も…しかし取り越し苦労だったようで、大きな問題もなく賑やかではありますがみんなが平穏な日常を送ることができています。状況が変わっても受け入れられる懐の広さと自分のペースを崩さずいつも通りの生活を過ごすことができる子ども達の成長をうれしく思います。

 また、児童相談所や学校をはじめとする関係機関、支える会、そして留守がちな私に代わって「家」を守ってくれているスタッフの皆さんに心からの感謝を申し上げたいと思います。

 

●さて、社会的養護を取り巻く状況が急速に改善改革が進んでいることはこれまでも折に触れお伝えしていますが、令和5 年度は「こども家庭庁」が創設されるので、より加速されることでしょう。

 改正児童福祉法及び児童虐待防止法においては「子どもの権利」という文言が使用され子どもが権利の主体であることが法律上明確化されました。それにより社会的養護の分野でも様々な取り組みが始まっています。例えば、子どもの意見表明権を保障するということでは、施設や里親の下で育った社会的養護の当事者たちが自らの体験談や意見も話せる機会が増えたり、それらを通して施策提言などに繋げられるよう彼ら自身があるいはそれらを支援する動きが全国的に広がりつつあるのです。当事者ゆえのそのリアルな語りが社会的養護に携わる多くの関係者の心を動かす原動力となっていることは間違いありません。

 私は40 年以上も社会的養護の下で暮らす子ども達と関わり続けてきましたが、彼らの悲しみや怒りに触れながらも、解決に導くことができずに社会に送り出してしまった場合も少なくありません。やがて大人になった彼らから不適切な対応だったことへの批判や不満を聞かされることもたびたびで…なんと耳の痛いことか…しかし、そこから学んだことはとても大切なことばかりで今の私自身につながっているとも思っています。人生の折り返し地点を通過した以降ますます月日の過ぎるのが早く感じるこの頃…これまでのことを踏まえ、これから私ができること、やらなければならないことなど、ぼんやり考えつつもまだまだ焦点が定まっていなかったのです、が…

 2022 紅白で桑田佳祐率いる5 人のメンバー(全員60 代半ば)が謳う「時代遅れのRock’n Roll Band」を聞いたのをきっかけに(?)ぼんやりがすっかりとなくなっちゃいました!!

 

  ♪我々がいなくなったって、

   この世の日常は何一つ変わりはしないだろう。

   そんなちっぽけな者同士、

   お互いのイイとこ持ち寄って   

   明日に向かってTwist and Shout, c’mon!! ♪    

        

             佐野元春さん素敵!!懐かしい歌声に青春時代を思い出しました。

 

 是非皆さんも聞いてみてください。        

 60 代のおばさんも頑張らなければ!!

 

●コロナ禍の生活が3 年にも及んでいます。収束するかと思ってもまた新たな波が、の繰り返し。行動制限は緩和されましたが感染症を気にしながらの日常であることに変わりはなく、一日も早く元の生活に戻れますようにと願わずにはいられません。

 

                                            令和5年 1月10日

                                              石 川 浩 子